【紹介】「アリータ: バトル・エンジェル」【2/22上映開始】
目次
1.世界観
2.脚本
3.映像
4.総評
1.世界観
舞台は近未来。300年前の大戦争(没落戦争)によって多くの科学技術や文化が失われたディストピア。
戦争を生き延びた唯一の空中都市、ザレム。その下にあるならず者の街、アイアンシティ(鉄くずの街)での物語。
アイアンシティで生まれたものは、ザレムに行くことはできない。
サイボーグ(機械化した人間?)と生身の人間が共存している。
警察は機能しておらず、賞金のかかった犯罪者を殺して回収するのを生業とする賞金稼ぎ(ハンターウォーリアー)が活躍している。
銃は所持しているだけで大罪とされるため、剣やチェーンソーといった近接武器がよく用いられている。
モーターボールというスポーツ(?)が盛んにおこなわれている。
一つのボールを武装したサイボーグたちが激しく奪い合うといったもので、とても人気。
多くの偉大な戦績を上げた者はチャンピオンの称号が与えられ、ザレムに行く権利が与えられる。
2.脚本
物語性が強く不要な描写はほとんどなかった。
その分展開が少し早く、集中して見ていないとついていけないかもしれない。
サイボーグである主人公と生身の人間たちとの間に生まれる関係についての描写はとても美しく感じた。
友情や恋情、家族愛といったものもよく描かれていて、素敵だった。
灰色の機械化された世界だからこそ、そういった人間味のあるシーンがとても映えていた。
ただ物語の内容上残酷なシーンが多く、そういったものに強い抵抗を感じる人にはオススメできない。
世界観を重視した脚本で、暗い雰囲気を保っていた。汚い鉄くずの世界で必死に生きる人々の姿がよく描写されていた。
悪役は印象的ではあったが、魅力的とはあまり言えなかった。かっこいいと思える人物はいないように感じた。
反面主人公の周りの人々は皆どこかいびつで、それでいて魅力的だった。
3.映像
激しい場面が多く、予告動画に映っていない部分でも見どころのあるアクションは多かった。
サイボーグのアクションが好きな人はそれだけのためにでも見る価値があるだろう。
(個人的にはトランスフォーマーシリーズのアクションよりスピーディーで見ごたえがあった)
ゴア表現について、人間の血や内臓の描写は少なかった。
サイボーグたちが戦う物語である分、機械化された肉体がバラバラになったり首だけになったりといったシーンは非常に多い。予告動画に含まれている要素よりずっとグロテスクな部分もいくつかあった。
機械化されているとはいえ、体が切断されたり欠損していたりする映像が苦手な人は避けたほうがいいかもしれない。
アリータの大きな目については、個人的に最後まで少し違和感が残った。
しかし嫌悪感や不快感というものはなく、むしろこれはこれでアリータというキャラクターとアイアンシティの世界観をうまく表現できているのではないかと感じた。
(原作である銃夢は未読)
4.総評
鉄とサイボーグ。恋、愛。そして戦い。
『天使が戦士に目覚める』というキャッチは間違ってはいない。
私としては『記憶のない少女が戦士だった自分を取り戻す』という方がふさわしいように思えるが。
アリータが戦いの中で傷つきながら、失いながら、時に記憶を取り戻し、時に何かを学んでいく姿はとても美しかった。
萌えとか、そういった要素は全くと言っていいほど存在していない。
少し古いSFらしい厳しさと美しさが入り混じった作品だった。